head


小林 孝至(エイベックス ディレクター)

そのナイフは、
僕の肝臓を弧を描いて切り取っていく

そのノコギリ状のナイフは、
僕の心臓を肉が焼けるような音をたてながら
刺しては、
またゆっくりと引き抜いていく

あたりに吹き出した僕の桃色の血液たちは、空に舞い

やがて、
ヒラヒラと ヒラヒラと
桜の花びらのように
ゆっくりと ゆっくりと
僕の髪、肩、腕、に舞い降りて、
薄い皮膚に染み込んでいく

やがて、ガラス状の心臓はその花びら達を集め、
何もなかったかのように、ふたたび満開の桜の木を形成し始める。

ほら、その鼓動がまた僕の体をゆらすんだろう?
ほら、その鼓動がまた僕の右脳を鳴らすんだろう?

手にかけたドアノブを回すと、

「ほら、やっぱり」

そこは裏切りという
入口だった。


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スティーヴ エトウ

痴性と狂妖を兼ね備えた芸術家はいます。実際…います。

けれども、残念ながらおおかた社会的にはダメ人間なんです。

ススムさんは、そのうえで知性と教養をも持ち合わせた稀なる人物だと思ってます。
んーーー、たぶん、きっと、そうです。

まぁ、勘違いでも問題は無いです。。。


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笹路 正徳

西川進という人の音楽性は<二面性>が特徴だと思う。とんがってて優しい、エキセントリックなのに暖かいギターの音色。
ぶち壊すのも構築の手段、もっと言えば、すごくギターを上手に弾きたいんだか、そんな事ハナから興味ないのかもわからない!
要するに立体的な音楽家なんだなぁ。
このアルバムも姿勢に好感だけ持って1回しか聴かないものではなく、
何回も楽しく聴けます。歌がないのにある様な音楽。


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Chage

要するに彼の弾くギターは

人間の感情そのものなんです。

この「奇跡のカケラ」を体内に埋め込むことで

彼自身がギターそのものに進化するのです。

その事はあまり大きな声では言えないのですが・・

だから僕は西川進という男を

もう「ギターリスト」とは呼ばない事にしました。

敢えて呼び名をつけるとしたら

「ニシギターススムンムン」と呼ばせていただきます。


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亀田誠治

西川さんはいつも僕の思いを何百倍にもふくらましてくれるギタリストです。
日本が世界に誇る、唯一無二の感情直結型ギタリスト。一度西川さんのギターを知っ
たらもう戻れないよ!
とがっていて、かっこよくて、あったかい。どこまでもひろがっていく西川進ワール
ドが、このアルバムでも全開です。


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小南泰葉

CDをパソコンに入れ、ヘッドホン耳にあてた。
・・・・・
インドにいた。雄大なガンジスに目を向けると、そこには真っ赤な花束が流れていた。
花束を追いかけていたらいつのまにかブラジルに辿り着いてブルゼラを吹いていた。
すると隣にいたカルロスが私に煩いとイジワルを言う。
私とカルロスは仲直りするために一緒にドナブランカをロックで飲みながらボサノヴァを奏でた。
私は酔っぱらってしまって目覚めたときにはロンドンのハイドパークで寒さに震えていた。
『大丈夫ですか?』と声が聞こえて振り返るとそこにはヘンリー8世。
ヘンリーは薄着の私に毛布とマフラーとセーター、それからホッカイロをくれた。
私とヘンリーはすぐに恋に落ちた、それは必然だった。
ヘンリーは数えきれないほどの贈り物を私にくれた。
馬五頭、バラ園、噴水庭園、そしてバッキンガム宮殿。
私は幸せだった。
そんな幸せにすぐ終幕は訪れた。ヘンリーは死んだ。
青い梅を食べ過ぎて。
私は泣いた、時間がわからなくなるくらいずっと泣いた。
毎年1月28日彼の命日、聖ジョージ礼拝堂のステンドグラスの向こう側は決まって雨が降っている。

こんなにも情景の浮かぶアルバムは他にない。




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久松史奈

お日様の様に暖かく、小川の様に綺麗な…とてもファンタジックな西川進ワールド。
どこまでも透き通るこの世界の中で、心地よく、日向ぼっこしながら、ゆらゆらうたた寝。
特に「奇跡のカケラ」から「涙雨」にかけては、彼の音楽に対する『まっすぐな心』を見た気がします。
このキラキラがいつまでも続く事を、切に願います。


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